はじめに ── 介護タクシーの開業を検討されている方へ

高齢の方や体の不自由な方の通院・通所を支える「介護タクシー」は、地域にとって欠かせない移動の担い手です。鹿屋市など大隅半島の地域でも、開業を志す方が少しずつ増えています。

一方で、介護タクシーは自家用車で気軽に始められる事業ではなく、道路運送法にもとづく国土交通大臣の「許可」を受けて初めて営業できる、旅客運送事業です。「何から準備すればよいのか分からない」という段階から、行政書士法人森谷彰太事務所がお手伝いします。

介護タクシーとは ── どんな事業で、誰が対象か

法律上の位置づけ

介護タクシーは、道路運送法上の「一般乗用旅客自動車運送事業」に当たります(道路運送法第3条第1号ハ)。これは、一つの契約で乗車定員11人未満(実質10人以下)の車を貸し切って旅客を運ぶ事業です(道路運送法施行規則第3条の2で定員の区分を規定)。いわゆるタクシーと同じ枠組みのなかで、利用者の範囲を福祉輸送に限る形で運営されるものが、一般に「福祉輸送事業限定」と呼ばれます。

「福祉輸送事業限定」という呼び方について

「福祉輸送事業限定」は、法律上の独立した事業の種類ではありません。許可に業務の範囲を限定する「条件」を付すことで成り立っています(道路運送法第86条第1項=許可に条件を付すことができる)。この条件が付された車両には、車体に「限定」と表示する決まりがあります(道路運送法施行規則第65条第2号)。

※どのような利用者・車両に限定されるかといった具体的な内容は、九州運輸局の許可基準(公示)で定められており、開業の目的に合わせた確認が必要です。

主に想定される利用者

体の不自由な方、要介護・要支援の認定を受けた方など、一般のタクシーの利用に配慮が必要な方の移動を支えるのが介護タクシーの役割です。

※対象となる方の細かな範囲は運輸局の許可基準によって定まるため、開業計画に合わせて事前にご相談ください。

許可を受けるための主な要件(法令で定められているもの)

以下は道路運送法・同施行規則で確認できる主な要件です。細かな面積・両数などの数値基準は、九州運輸局の許可基準(公示)で定められています。

1. 国土交通大臣の許可

一般旅客自動車運送事業を経営するには、あらかじめ国土交通大臣の許可を受ける必要があります(道路運送法第4条第1項)。許可を受けずに営業することは法律で禁じられており、罰則も定められています(同法第96条)。

2. 事業計画(営業所・車庫・休憩施設など)

営業区域、営業所の名称と位置、配置する車の数、車庫の位置と収容能力などは、申請書に記載する法定事項です(道路運送法施行規則第4条第8項)。あわせて、乗務員の休憩・仮眠のための施設の概要を示す書面も添付します(同規則第6条第1項第3号)。

3. 運転者

旅客を運ぶ事業用自動車の運転には、年齢や運転経歴などの一定の要件を満たした運転者が必要です(道路運送法第25条)。

※実務上は第二種運転免許を持つ運転者が求められますが、その具体的な要件は政令・道路交通法で定められています(本ページは道路運送法・同施行規則を根拠とするため、免許の詳細は別途ご確認ください)。

4. 運行管理の体制

輸送の安全を確保するため、営業所ごとに、運行管理者資格者証を持つ人のなかから運行管理者を選任する必要があります(道路運送法第23条第1項)。選任したときは遅滞なく届け出ます(同条第3項)。

※選任すべき人数などの細目は別の省令・運輸局基準で定められます。あわせて、車両の整備管理の体制も整える必要があります(整備管理の詳細は道路運送車両法によります)。

5. 運賃・料金の認可

運賃・料金は、あらかじめ定めて国土交通大臣の認可を受ける必要があります(道路運送法第9条の3第1項)。運送約款についても認可が必要で、国が定める標準運送約款と同一のものを使う場合は認可を受けたものとみなされます(同法第11条)。

6. 法令を守れる者であること(欠格事由)

過去に一定の刑罰を受けた場合や、運送事業の許可を取り消された場合など、一定期間(多くは5年)を経過していない方は許可を受けられません(道路運送法第7条)。

7. 損害を賠償できる備え

事業用自動車の運行で生じた損害を賠償するための措置(保険等)を講じていることを示す書類が必要です(道路運送法施行規則第6条第1項第4号)。

手続きの大まかな流れと難易度

おおまかな流れ

  1. 許可申請書と添付書類の準備・提出(道路運送法第5条、同施行規則第6条)
  2. 運輸局による審査(許可基準・欠格事由の確認/道路運送法第6条・第7条)
  3. 許可(道路運送法第4条)
  4. 運賃・料金の認可、運送約款の手続き(道路運送法第9条の3・第11条)
  5. 運行管理者の選任届(道路運送法第23条第3項)
  6. 車両を事業用に切り替える手続き(自動車登録の手続き)
  7. 運輸開始の届出(道路運送法施行規則第66条第1項第1号)

難易度の目安

介護タクシーの許可申請は、施設・車庫・運行管理・運賃認可・保険など、確認事項が多岐にわたります。書類の点数も多く、開業計画と運輸局の許可基準を照らし合わせながら進める必要があるため、初めての方がお一人で完結させるのは負担の大きい手続きです。

つまずきやすい注意点

自家用車のままでは営業できない

道路運送法の許可を受けずに自家用車で有償の旅客運送を行うことはできません(道路運送法第81条・第96条)。「まず走り出してから許可を取る」という順序は取れません。

運賃・約款は「決めて認可」まで必要

料金を自由に決めて始められるわけではなく、あらかじめ運賃・料金・運送約款の手続きを踏む必要があります(道路運送法第9条の3・第11条)。

「限定」の中身は許可基準で決まる

「福祉輸送事業限定」でどこまでの利用者・車両が対象になるかは、九州運輸局の許可基準(公示)によって定まります。開業の目的(どんな方を、どんな車で運びたいか)を最初に整理しておくことが、後戻りを防ぐポイントです。

運行管理・整備管理・施設の要件を見落としやすい

車と運転者さえあれば始められると思われがちですが、運行管理者の選任、整備管理の体制、休憩施設・車庫の確保など、体制面の準備が許可の前提になります。

行政書士法人森谷彰太事務所に相談・依頼するメリット

制度の入口から一緒に整理します

「福祉輸送事業限定」の対象範囲や必要な体制は、開業の目的によって確認すべき点が変わります。何が必要かを一つずつ整理し、開業計画に落とし込むところからお手伝いします。

平日の窓口対応の手間を軽くします

許可申請は、平日に運輸支局の窓口とやり取りしながら進める必要があります。日々の準備や本業がある方に代わって、申請書類の作成と手続きの窓口対応を行政書士法人森谷彰太事務所が担い、ご自身が平日に何度も足を運ぶ手間を軽くします。

地域の実情をふまえてご案内します

鹿屋市など大隅半島の地域で活動する行政書士事務所として、これから開業される方の立場に立ってご案内します。

まずはご相談ください

介護タクシーの開業をお考えの方は、「何から始めればよいか」の段階からご相談いただけます。

お困りの場合は、行政書士法人森谷彰太事務所へご相談ください。