車検証の所有者が亡くなったとき|親が相続する場合の名義変更手続き

車検証の所有者が亡くなったとき|親が相続する場合の名義変更手続き

ご家族が亡くなられたあと、自動車の名義をどう整理すればいいのか、お困りの方は少なくありません。とくに、お子様を先に亡くされたご両親が「息子(娘)名義の車をどうすればよいのか」と相談に来られるケースが、鹿屋市・大隅半島では一定数あります。

このページでは、行政書士法人森谷彰太事務所が、独身でお子様もいないお子様(被相続人)を亡くされたご両親(直系尊属)が、自動車を相続して名義変更するケースに絞って、必要書類と手続きの流れをわかりやすくご説明します。

まず確認したいこと

「親が相続する」という形になるためには、民法上の前提条件があります。実際に手続きに入る前に、次の点を確認してください。

  • 亡くなった方(被相続人)に配偶者がいなかった、または配偶者が既にお亡くなりになっている
  • 被相続人にお子様(実子・養子・認知された子)がいない
  • お子様がいた場合でも、そのお子様が被相続人より先に亡くなっており、さらにそのお子様(被相続人から見た孫)もいない
  • 車検証の「所有者」欄が、亡くなった方ご本人の名義になっている

これらが満たされたとき、はじめて「親(直系尊属)」が相続人となります。配偶者・子・孫がいる場合は、まずそちらが優先される点にご注意ください(民法第887条・第889条・第890条)。

なお、被相続人に配偶者だけがいて、お子様や孫がいない場合は、配偶者と親の共同相続になります。この場合は配偶者と親の両方が相続人となるため、別途遺産分割協議が必要です。

親が相続するパターンは大きく2つ

実務でよくあるパターンは次の2つです。

  • 両親ともご健在:父母二人が法定相続人となり、それぞれ2分の1ずつ相続する
  • 片方の親がすでに亡くなっている:ご健在の親お一人が単独で相続する

両親がともにご健在の場合は、原則として父母お二人の共同相続になります。車という性質上、共同名義は手続きや売却時に手間がかかるため、実務的にはお二人のうちどちらか一人に名義をまとめることをおすすめしています。そのためには、お二人の間で「車については○○が引き継ぐ」という遺産分割協議を行います。

片方の親が既に亡くなっている場合は、ご健在の親お一人が単独相続するため、遺産分割協議書は基本的に不要です(ただし、後述する戸籍関係の証明書は同じく必要になります)。

必要書類(普通自動車・親が相続する場合)

普通自動車を鹿児島運輸支局で名義変更する場合、一般的に以下の書類を準備します。

故人(被相続人)に関する書類

  • 故人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍の一式
  • 故人の住民票の除票(または戸籍の附票)

親が相続するケースで最も負担が大きいのが、この戸籍集めです。「亡くなった方に子・孫がいないこと」を戸籍で証明しなければならないため、出生から死亡まで途切れなく戸籍をつなぐ必要があります。さらに、結婚歴や認知された子がいないことも、戸籍を遡って初めてわかります。本籍地が転々としている場合や、戦前の改製原戸籍までさかのぼる場合は、書類の取り寄せだけで1か月以上かかることもあります。

相続人(親)に関する書類

  • 相続する親の戸籍謄本(被相続人の親であることがわかるもの)
  • 相続する親の印鑑証明書(発行から3か月以内)
  • 相続する親の実印
  • 両親ともご健在の場合は、もう一方の親の戸籍・印鑑証明書(遺産分割協議書に押印するため)

車そのものに関する書類

  • 自動車検査証(車検証)
  • 自動車税納税証明書(最新年度分)
  • 申請書(OCRシート第1号様式・運輸支局窓口で入手)
  • 手数料納付書
  • 必要に応じて自動車保管場所証明書(車庫証明)

相続関係を示す書類(いずれか)

  • 法定相続情報一覧図の写し(法務局で交付されたもの)
  • 遺産分割協議書(両親ともご健在で、お一人にまとめる場合に作成)
  • 遺産分割協議成立申立書(査定価格100万円以下の特例を使う場合)

法定相続情報一覧図は、相続関係を1枚の図にまとめた証明書です。直系尊属が相続人になる場合は戸籍が大量になるため、一度法務局で一覧図を作っておくと、自動車登録だけでなく預金解約や不動産名義変更にも使い回せて便利です。

査定価格100万円以下なら手続きが簡単になります

自動車の査定価格が100万円以下である場合、両親お二人の実印・印鑑証明書を集めた遺産分割協議書を作る代わりに、「遺産分割協議成立申立書」という1枚もので代替できます。これは、車を引き継ぐ親お一人が署名押印するだけで足りる書類で、もう一方の親の関与が不要になる便利な制度です。

100万円以下かどうかは、ディーラーや中古車買取店で発行される査定証で証明します。年式の古い軽自動車や、走行距離の多い普通車であれば、この特例を活用できることが多く、書類集めの負担が大きく軽減されます。

なお、ご高齢のご両親が遠方にお住まいの場合、印鑑証明書の取得や実印の押印そのものがハードルになることもあります。査定額がわからない段階でも、この特例の活用余地があるかをまず確認することをおすすめします。

軽自動車の場合は手続きが異なります

故人が乗っていたのが軽自動車の場合、手続きの窓口は鹿児島運輸支局ではなく「軽自動車検査協会鹿児島事務所」になります。軽自動車は法律上、相続による名義変更も「所有者の住所・氏名変更」と同じ流れで処理され、戸籍一式や遺産分割協議書の提出は原則として不要です。

ただし、新所有者(親)の住所を証する書面と、車検証・ナンバーが必要になります。ナンバーが鹿児島ナンバーから変わる場合は、ナンバープレートの返納と新規交付も発生します。

軽自動車の名義変更については別記事で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。

手続きの流れ(普通自動車)

  1. 故人の出生から死亡までの戸籍一式と、相続する親の戸籍・印鑑証明書を集める
  2. お子様や孫がいないことを戸籍で確認する(前妻との間のお子様、認知されたお子様などがいないか)
  3. 必要なら、車を取り扱うお店で査定証を取得する(100万円以下の特例を使うとき)
  4. 遺産分割協議書または遺産分割協議成立申立書を作成する
  5. 車庫証明が必要な場合は、相続する親の名義で警察署に申請する
  6. 鹿児島運輸支局で移転登録(相続)を申請する
  7. 新しい車検証を受け取る
  8. 任意保険・自動車保険の名義変更をする

鹿屋市から鹿児島運輸支局(鹿児島市谷山港2-4-1)までは片道80kmほどあります。書類が1枚足りないだけで往復することのないよう、事前準備が何より大切です。

よくあるつまずきポイント

  • 被相続人にお子様がいないことを証明する戸籍が膨大になりがち:被相続人の戸籍は出生まで遡るため、本籍地を転々としていた場合や戦前まで遡る場合、複数の市町村役場への請求が必要です
  • 思わぬ相続人が判明することがある:戸籍を取り寄せた結果、認知されたお子様や前婚のお子様の存在が判明することがあります。その場合は親ではなくお子様が第一順位の相続人になるため、手続きの組み立てを最初からやり直すことになります
  • 両親ともご健在の場合の調整:父母お二人が共同相続人となるため、どちらに名義をまとめるかをあらかじめ話し合っておく必要があります
  • ご高齢の親御様の負担:印鑑証明書の取得や実印の押印など、ご高齢の親御様にとっては窓口に出向くこと自体が負担になります。査定100万円以下の特例を使えば、もう一方の親御様の負担を減らせる場合があります
  • 任意保険の等級引き継ぎ:等級は同居の親族間でしか引き継げない保険会社が多く、別居のご両親が相続する場合は等級を引き継げない可能性があります

親相続と他のパターンの比較

実務上よくあるご質問が「配偶者相続や子相続と何が違うのですか」というものです。要点を整理すると次のとおりです。

  • 配偶者相続:配偶者は常に相続人。お子様や親がいても配偶者と共同相続になる
  • 子相続:第一順位の相続人。お子様がいる場合、親(直系尊属)は相続人にならない
  • 親相続:第二順位の相続人。お子様・お孫様がいない場合に初めて相続人になる
  • 兄弟姉妹相続:第三順位。配偶者・子・親のいずれもいない場合に登場

親相続のケースは、被相続人にお子様や配偶者がいないことの証明が中心になるため、戸籍関係の書類が他のパターンより多くなる傾向があります。

まとめ|親相続のポイント

  • 親が相続人になるには「配偶者・子・孫がいない」ことが前提(民法第889条)
  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍一式が必須で、書類集めに時間がかかる
  • 両親ともご健在の場合は共同相続になるが、実務的には一人に名義を集約することが多い
  • 査定価格100万円以下なら遺産分割協議成立申立書で簡略化できる
  • 普通自動車は鹿児島運輸支局、軽自動車は軽自動車検査協会鹿児島事務所と窓口が異なる
  • 鹿屋市から鹿児島運輸支局までは片道80km。書類不備での往復は時間と労力のロスが大きい

行政書士法人森谷彰太事務所では、車庫証明から運輸支局での移転登録まで、親が相続するケースの自動車手続きをワンストップでお手伝いしています。鹿屋市など大隅半島の地域で「息子(娘)名義の車をどうしたらよいのか」とお悩みのご両親は、お気軽にご相談ください。

ご相談・お見積りについては、お見積りフォームよりお問い合わせください。

投稿者プロフィール

行政書士 森谷彰太
行政書士 森谷彰太
鹿児島県鹿屋市の行政書士。自動車登録業務専門の行政書士事務所で16年間の実務経験を積んだのち、令和3年8月に独立し行政書士森谷彰太事務所を開業。令和6年11月には法人化し、行政書士法人森谷彰太事務所として運営しています。

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